三重県四日市市の心療内科・精神科
諏訪メンタルクリニック

三重県四日市市諏訪栄町5番8
ローレルタワーシュロア四日市2階
医療モール内 電話 059-336-5900

高齢者・シニアの心療内科

うつ病、仮性認知症

製造業の会社を定年退職したAさん(60代後半/男性)

「自分なんか生きている価値もないから死んでしまいたい」

 
Aさんは、十分な貯蓄もできたので、定年退職後は再就職せず奥さんと趣味のハイキングや園芸を楽しむ計画をしていました。
しかしいざ退職してみると、奥さんは昼間から趣味の仲間と出かけてしまいAさんに構ってくれません。楽しもうと思っていた園芸も長続きせず、やることがなくなってしましました。
 
退職後3年ぐらいたった頃には、一人で家で過ごすことが多くなったAさん。朝、決まった時間に起きる必要がなくなり生活は乱れ、朝からアルコール飲んだり、寝床で寝たまま過ごすこともしばしばでした。
そんなAさんを心配していたのは娘夫婦です。一緒に見たはずの孫の運動会のかけっこの話をしても覚えてないし、すぐに「自分なんか生きている価値もないから死んでしまいたい」と言うのも気になります。「もしかして認知症かしら」「死にたいと言うから、うつなのかも」と考え、Aさんと家族の方が一緒に心療内科に来られました。
 
 

うつが原因で、あたかも認知症のように見える仮性認知症

 
Aさんは診察時、「何か困っていることはないですか」と聞いても、下を向いて「分かりません、分かりません」と言うばかり。明らかに物事のとらえ方がマイナス思考で、普段の生活でも気分が落ち込んでいるという面から、うつではないかと考えました。
物忘れがあるのも気になったので物忘れの程度を測る長谷川式心理テストもやっていただきました。
 
テストをやっている時のAさんは、ほとんど考えず即答で「分からない」と繰り返す様子が気になりました。考える意欲がないようなのです。当然テスト結果は認知症レベルの点数なのですが、うつによってテストに取り組めていない状態と思われました。
これはうつが原因となって、あたかも認知症に見える仮性認知症と診断しました。
 

抗うつ剤と精神療法で、うつと物忘れを改善

 
「Aさんの場合は、うつが治れば物忘れも治る」と予想をし、精神療法と薬物療法をすることにしました。
まずは抗うつ剤を2週間ぐらい飲んでもらったところ、寝てばかりいたのが起きられるようになりました。改善があったので続けて並行して精神療法を継続しました。
Aさんに「朝起きられるようになりましたね」などの良くなったところを話していきます。マイナス思考の方が多いので、逆のプラスの面を伝えていくのです。治療を続けていくうちに徐々に改善してきたAさん。気分が良くなってくると物忘れが目立たなくなってきました。家族も年相応の物忘れレベルになったと一安心。
 
うつが改善してからは、趣味を楽しめるようになり、映画を見に行ったり、犬の散歩に行けるようになりました。今後の目標は、朝決まった時間に起きて犬の散歩するのを習慣にしたり、一人で自宅で過ごすのではなくサークルや教室に通うことです。

アルツハイマー型認知症

税理士事務所の経営者だったBさん(70代/男性)

「通帳が盗まれた! お前のしわざか」と長男に掴みかかる

 
税理士をしていたBさんは、「悠々自適の生活をしたい」と50代でリタイアし、趣味のカラオケなどを楽しむなど充実した生活を送っていました。ところが60代半ばを過ぎた頃から、徐々に物忘れが出始めました。
最初は奥さんとの会話で「昨日の夕食何だったかな?」「この前、絵を見に行った場所はどこだったかな?」くらいの軽い物忘れでした。
しかし徐々に物忘れはひどくなり、何度も同じ本を買ってきたり、遠出すると帰り道が分からなくなったりするようになりました。
どんどん状態が悪くなっていくBさん。ある日、自宅で「預金通帳が盗まれた!」と騒ぎ始めました。
 
長男に「お前がとったんだろう!」と怒鳴ります。長男は「そんなことするわけない」と興奮して言い返すと、Bさんもどんどん興奮状態になり長男に掴みかかる始末。
騒動の後、探してみるとなくなった通帳はBさんが自分で違う所に移し替えていたことが分かりました。しかしBさんはそれを忘れていたのです。
その後も頻繁に「また盗まれた」と興奮して、もめた家族に対して手が出ることもしばしば。ついには「泥棒が入った。犯人は家族かもしれない」と110番に電話をしたり、不当な迫害を受けていると思い込み刃物を持ち出すことも。
困った家族は保健所に相談し、認知症のほかにも暴力や妄想といった周辺症状が出ているので心療内科・精神科を勧められ、Bさんは家族に連れられて受診をされました。
 

認知症のパターン確認のため神経内科と連携

 
Bさんの診察では認知症レベルをみる長谷川式テストを行い、ご家族から今の症状を聞いて、認知症と判断しました。
認知症はいろんなパターンがあるので、血液検査をしたり、紹介した神経内科で脳の画像検査を受けていただき、その結果から徐々に脳が萎縮する「アルツハイマー型認知症」と診断をしました。
認知症はアルツハイマー型と分かれば的確な対応により進行を緩やかにできますし、うつであればその治療をすれば改善し、頭の中に血の塊ができている(慢性硬膜下血腫)のであれば手術をすれば回復されることもあります。
そのためにも一度神経内科の検査を受けていただき器質的な病気の可能性を否定できれば、より的確な治療が行えるのです。
 
Bさんのように「妄想が強い、暴力的、興奮する」という症状は精神科で対応するケースです。まずは認知症の薬で治療をスタートしました。
 

ご家族には興奮時の対応方法をお伝えします

 
認知症の重症度にもよるのですが、興奮時の対応の方法をご家族に伝えることも大事なことです。Bさんが「誰かが自分のモノをとった」と興奮して騒いでいる時に、「そんなことするわけないじゃない」と否定すれば、興奮状態がひどくなります。
そこで「ちょっと一緒に探してみようか」「探しておくのでお茶飲んでて」などと視点を変えるような関わり方をするようご家族に指導しました。Bさんは記憶の保持があまりできないので、興奮している時はちょっと目線を変えてあげるのも必要なのです。
こうすると興奮する頻度が減ることがあります。また、妄想や興奮に対しては漢方薬や認知症の薬、本来認められている用法からは適応外ですが抗精神病薬を少量調整して使うケースもあります。
 
治療を進めていくうちに年齢相応の物忘れは徐々には進んだものの、興奮することが減ってきたBさん。暴力や妄想で日常生活に支障が出るような重度の場合は入院するしかないのですが、Bさんは入院をせずに回復しました。
「どんな状態になっても一緒にいたい、けがをしても一緒に暮らしたい」というご家族の希望にも添うことができました。
 

認知症で妄想、暴力、興奮がある場合は心療内科・精神科

シニア世代がうつにならないためには、退職してからも趣味を楽しんだり、何かに興味を持って、いきいきとした暮らしをするのが一番です。

ウォーキングのような有酸素運動やハイキング、犬の散歩などの運動習慣をつけるのも効果的です。認知症には腹八分を心がけたり、健康によい食事をとるよう気をつけたり、禁煙などをすると発症しにくいといわれています。
すでに認知症の進行をゆっくりさせる薬が日本でも4種類出てきています。アルツハイマー型認知症と診断された時には薬での対応もできます。
物忘れは本人に自覚があり心配しているなら問題ないことが多いのですが、ご家族が「どうも物忘れが強いようだ」と感じる場合は問題があるかもしれません。
認知症はどこに相談していいのか分からないというご家族が多いと思いますが、妄想、暴力、興奮がある場合は心療内科・精神科へご相談ください。認知症の診断には当院から神経内科を紹介して、詳細まで診断できる体制をとっています。

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